ASAの、ただのクルマ好き 第204回 あのアドバン・タイプDが、クラシックカー用タイヤとして復刻

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投稿日時
2019/06/29 03:49
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きっと懐かしく思う人は

多いことでしょうね


もう今年も半分が過ぎようとしていますね、ASAです。月日が流れるのは早いもので、ついこの間発売されたと思っていたものも、あっという間に廃版で、世の中から消えていたなんてことありませんか?


タイヤも、そんな商品のひとつで、どんどん新しいものが登場してあれっ?オレのクルマに装着できるタイヤがないじゃん???なんて困っている旧車オーナーは多いのではないかと思います。


いくらクルマのコンディションを常日頃からしっかりと保っていても、タイヤが古くなっては危険で走れません。タイヤの専門家の話では、タイヤの新品性能が美味しいのはせいぜい製造から3年以内。


5年も経ったら新品時の性能は大幅ダウン。で、10年経過したタイヤは見た目が大丈夫そうでも、正直まったく役立たずなので、早めに交換すべきだそうです。



おっと、今回は古いタイヤでも新たに復刻となったタイヤの話です。


古いクルマを大切に乗っている人の悩みは、故障の修理とタイヤの確保じゃないでしょうか。で、少し前の話ですが、そんな要望に応え横浜ゴムがヒストリックカー向けに往年のスポーツタイヤ『YOKOHAMA ADVAN HF Type D』を復刻。国内のヨコハマクラブネットワーク店舗で販売を開始したんです。


タイプDといえば、かつては泣く子も黙るスポーツタイヤの代名詞的な存在。でも、1981年の登場というので、もう発売からおよそ40年が経過していたんですね。



じつは2017年に横浜ゴムが創業100周年を迎えた記念事業として、このタイヤの復刻が発表され、すでに横浜ゴムのオンラインショップで先行販売していたんです。


で、新たに店頭販売に踏み切ったのは、予想以上にこのタイヤに反響があったからのようです。それはなぜなのか。じつは、多くの旧車オーナーたちの悩みはタイヤの確保だったんですね。


えっ、タイヤなんてたくさん新しいのが売っているじゃないか、と思われるかもしれません。でも、タイヤはその当時のクルマの性能やニーズに合わせて作られており、極端な話、サイズ的にも旧車に装着できるタイヤがいま市場にないんですね。


横浜ゴムも旧車用タイヤに対して、「商品性の時代的変化や需要の衰退、タイヤに対する法規や技術規格の規制などから、現在の市場では適切な補修用タイヤの購入や確保が難しくなっている」とコメントしてるほどです。




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そこで、ヒストリックカーユーザーからの熱い要望に応えて、アドバンHFタイプDを復刻し、ヒストリックカー向けタイヤ試乗に参入したというわけなんですね。


ちなみに、復刻と言っても簡単な作業ではなかったとのこと。なにより、当時の性能のままに作るというのはとても難しいからなんです。


当時の高性能タイヤと現代の一般的なファミリーカー向けタイヤのグリップ力を比較すると、じつは現代の一般的タイヤのほうが優れているって知ってました?


で、当時のコンパウンドを用意することは難しく、使うとなれば新しいコンパウンドとなるんですが、最新のハイグリップタイヤのコンパウンドを使うと、グリップが高くなりすぎちゃうんですね。



タイプDが登場したのは81年ですが、当時このタイヤを装着していたのは60~70年代のクルマが中心。装着するのが旧車となれば、現代のハイグリップタイヤのグリップ力では、バランスが崩れてしまいます。


そこで、復刻に当たっては開発チームが旧車の走りにバランスするように神経を使って仕上げたそうです。


もちろん、グリップ力が弱いということはありません。現代風に性能が高くなっているので、サイズさえ合うのであれば、ドレスアップ用に現代のクルマに装着しちゃうのいいと思います。


こういったヒストリックカー用タイヤを、日本のタイヤメーカーが少しでも日本市場に投入するというのは嬉しい兆候。というのは、海外ではヒストリックカータイヤはすでにビジネス化しているから。




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たとえば、アメリカの自動車パーツショーに行くと、旧車専門のタイヤメーカーが出店してます。何年式のどのクルマのタイヤ、と細かく設定がるのは当然。ちゃんとオリジナルのタイヤメーカーからタイヤデザインの使用許可をもらい、正確に再現しているものもあるほどです。


また、ミシュランタイヤのように、1930年代からのクラシックタイヤを現在でも製造販売しているタイヤメーカーもあります。


欧州では、クルマに合わせて補修用タイヤも指定されている場合があるんです。つまり、タイヤメーカーは旧車用に補修用タイヤを供給する義務があるんですね。


ミシュランのWEBを見ると、往年のXWXやXVS、専用ホイールが必要だったTRXもちゃんとラインアップされており、いまでも入手可能なのですから、そのタイヤを必要とする旧車オーナーは心強い限りですよね。


日本のタイヤ性能の進歩は著しく、低燃費にハイグリップ、そして長寿命という最新タイヤは嬉しい限り。でも、古いクルマに装着できるタイヤサイズがすでにないというのは悲しいじゃないですか。海外を見習えとは言いませんがが、少なくとも、かつて主流だったタイヤサイズくらいはラインアップしてほしいです。


そういった点で、オンライン販売専用だった復刻版『ADVAN HF Type D』が店頭販売を開始したことは、旧車ファンにとって一筋の光明と言えるのではないでしょうか。現状、復刻サイズは、205/50R15 86V、225/50R15 91V、185/60R14 82H、195/70R14 91H、185/60R13 80H、185/70R13 86Hの全6サイズですが、これも徐々にで構わないので増やしてほしいもの。


是非とも他のタイヤメーカーも、少しでもいいから旧車用のタイヤを復刻してくださいね。

 


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■マツダは、初代ロードスターのレストア事業開始にあたり当時の純正装着タイヤをBSに依頼して復刻しました。パチパチパチ。