ASAの、ただのクルマ好き 第234回 クルマの騒音をカットする新素材です

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投稿日時
2020/04/30 22:37
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軽自動車でも新素材を使って

快適性をアップさせてます


新型コロナウイルスの影響で外出できず、模型でも作ろうとしたところ、接着剤やら塗料やらを買い足さなくてはならず、結局断念したASAです。みなさんは、いかがお過ごしですか?

 

さて今回は、ちょっとしたクルマの最新技術のお話です。そんなに難しい話じゃないので、お付き合いくださいね。


最近のクルマでは少なくなりましたが、古いクルマは雨が降るとルーフの鉄板を雨が打ちつけて、その騒音が結構気になったものです。最近のクルマはルーフの鉄板とインナートリムの間に防音材を入れたりして、静粛性を高めているので、雨の音が気になるクルマは減ったんじゃないでしょうか。

 

クルマはもともといろいろな騒音を発生させてしまいます。エンジン音や排気音。走行時のタイヤノイズや風切り音。


これらがそのまま車内に入ってきたら、うるさくてとても長時間運転できません。もちろんオープンカーが好きな人は、そんな騒音もクルマの魅力さ、と言われるかもしれませんが、一般的には静かなクルマが好きな方の方が多いのではと思います。

 

で、話は戻りますが、車内に騒音が侵入するのを防ぐには遮音対策が必要です。一般的には音が入ってくる穴を塞いだり、振動や騒音が車内に伝わらないようにする遮音材をクルマのあちこちに使って、静粛性を向上させるんですね。


これらを多く使えば車内の静粛性は高まるんですが、コストアップにつながるのは言うまでありません。また、面倒なもので、音ってひとつを潰すと次の音が気になるんです。で、イタチごっこで音対策をすると、どんどんと遮音材が増えていきます。


これって重量増にもつながるし、高価格の高級車ならいいかもしれませんが、比較的安価で軽量化もしたい軽自動車やコンパクトカーでは、頭の痛い問題なんですね。

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遮音材を少なくしながら車内騒音を低下させる技術は、各カーメーカーや自動車部品メーカーが研究しているところですが、接着材等でお馴染みドイツのヘンケル社は、車体構造体の伝搬振動を効果的に減衰させることで車室内のノイズ低減を実現するという方法を考え、画期的な新素材である、高減衰フォーム「TEROSON HDF」を開発しました。

 

こもり音、雨音、ロードノイズなどのノイズは、ルーフなどの構造体を振動させながら車室内に伝搬されます。一般的に制振材は、振動する構造体と静止している構造体の間に挟むことで、素材内部のせん断応力が熱エネルギーに変換されて振動が抑えられるんです。


HDFは、この応力の熱エネルギーへの変換が非常に効率的であるため、一般的な制振材と比較して優れた振動減衰性能を発揮するんですね。


また、他の制振材と違って、クルマの一般的な使用環境温度においてその振動減衰性能を常に発揮できるという点も特徴です。さらに、施工も完全自動ライン化に対応。


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そのおかげで生産ラインでも工程の短縮が見込めるんです。加えて、従来のマスチック接着剤より優れた制振性を発揮するため、振動が伝搬しやすい薄引き鋼板や軽い金属への構造材の使用が可能となり、車両の軽量化、ひいてはクルマの燃費向上も見込めるというからいいことづくめ。

 

これらの利点に目をつけたのがスズキです。HDFを新型ハスラーのルーフ部制振材として、軽自動車で初採用したんです。静粛性を高めながら、軽量化やコスト削減、燃費向上という観点から、軽自動車にピッタリの新素材と判断したんでしょう。


新型ハスラーでは、HDFは車体溶接工程にてルーフ用ビームに自動塗布機で塗布され、車体塗装工程内の電着乾燥時の熱にて硬化、発泡を伴い接着。


ルーフとビームの間で発泡接着したHDFの制振効果により、車室内で発生するこもり音や雨音、ロードノイズ等を効果的に低減しているようですよ。



通常、ルーフとルーフ内部のビームはマスチック接着剤で接着されています。


これにはルーフの振動を抑える効果があるんですが、必要に応じてアスファルトゴムなどの制振パッド等を併用しなければならないから結構面倒。


ところが、HDFでは、それら2つの材料を併用した場合と同等以上の制振性能を1つで発揮できるから一粒で二度おいしいんです。

 

さらに、HDFはカスタマイズすることで特定の周波数帯を中心に振動減衰性を効率化させることが可能。新型ハスラーでは、人が聴き取れる周波数帯20~15000Hzで最も効率的に振動を減衰させるようになっています。

 

どうです。こんな観点から新型ハスラーを見ると、また違って見えてきませんか? 本当に静粛性が向上しているのか、気になる方は是非雨の日に試乗しに行ってみてはいかがでしょう?