ASAの、ただのクルマ好き 第239回 特殊樹脂製のリヤバンパーステーが登場です

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投稿日時
2020/05/31 23:51
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最近のクルマには

樹脂部品が増えています


クルマといえば、大部分が金属でできているというイメージがありませんか?ASAです。でも最近は多くの部分で樹脂パーツが使用されています。


外板はもちろん、エンジンパーツやフレームの一部にも樹脂が使われています。たとえばカーボンファイバーも樹脂製品。フレームやシャシーがCFRP製の市販車もあるくらい、樹脂部品は普及しているんですね。


で、少し前にマツダ3とマツダCX-30のリヤバンパーステーに特殊樹脂製部品が採用されたニュースが出ていました。


BASFが開発したという特殊ポリアミド樹脂(PA)で作られたリヤバンパーステー。PA樹脂は以前からあった素材ですが、なぜいままでリヤバンパーステーに使用されてなかったのでしょうか。



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クルマのバンパーを支えるバンパーステーは、プレス製造の鋼板製が一般的です。それは、軽量で、しかも製造精度が高いから。また、単にバンパーを支えるだけでなく、衝撃が加わったときにも潰れることで力をうまく分散させる役割もあるんです。


しっかりとした位置決めが必要で、軽い衝突時にボディの破損を抑えるバンパーのステーにはピッタリの素材なワケです。


でも、鋼板製バンパーにも弱点はあります。それはサビ。とくに降雪地域における融雪剤や凍結防止剤による塩害で、薄い鋼板部品はサビてボロボロになっちゃいます。


そこで、鋼板に代わる素材として採用されたのが、ドイツのBASF社が開発した特殊なポリアミド樹脂、『ウルトラミド・バランス』。この樹脂を使い、広島のモルテン社がマツダ3とCX-30用のリヤバンパーステーを製造しました。


ポリアミド樹脂(PA)は、別名ナイロン樹脂ともいわれるもので、従来から存在していた素材です。鋼板並みの強度もあり、軽量な部品を作ることが可能な素材なのですが、なぜ今まで使われていなかったのでしょうか。


それは、ポリアミド樹脂の特性上、加工中や使用中に熱や光によって化学的な変化を起こし、劣化による性能の低下や変形が起こってしまうからです。わかりやすい例では、ナイロン樹脂の製品が黄色く変色する黄化現象。これは酸化しやすい性質がもたらすものなんです。


リヤバンパーステーは、マフラーのサイレンサーによる高熱や、融雪剤、凍結防止剤の塩化カルシウムにさらされる可能性が高く、従来のポリプロピレンや一般的なポリアミド樹脂といった素材で製造すると、経年変化により劣化・変形する可能性があるため、使いたくても使えなかったんですね。


そんな問題点を解決した新素材が、BASFの『ウルトラミド・バランス』です。


この樹脂は、従来のポリアミド素材と比較して優れた特性を備えており、ガラス繊維が30%含まれていることで、より長期的に渡る高い耐熱性、安定剤およびポリマー技術による耐薬品性を持っています。


そのため、オイルや様々な溶剤、アルカリ水溶液等に対する高い耐久性を実現。さらに、他のポリアミド素材に比べ吸湿衛が低く、湿度が高い環境下においても部品寸法精度の安定性が維持できるそうです。


また、新素材の原料となるバイオ系セバシン酸は、ひまし油から作られており、より持続可能な素材の需要が高まっている現在のニーズにもピッタリ。


インテリア部品や外装部品など、わかりやすい部品は品質向上や耐久性が重視されいますが、バンパーステーなどの一般的には人目に触れない部分の地味な部品は、意外に疎かにされがち。




そんな地味な部品にも注目し、新素材を投入して製品の耐久性や精度といった性能アップを追求している素材メーカーや部品サプライヤー、そしてカーメーカーのあくなき探求心には頭が下がります。


従来の素材のいいところは継続して使用しながら、最新素材でクルマの性能を高めていく。これからもきっと新しい素材を使った部品が、最新のクルマに採用されていくことでしょう。


今後どんな最新素材の部品が登場するのか、とても楽しみです。


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■融雪剤で激しく錆びてしまい、サブフレームをぶち抜いたスタビライザーの取り付けブラケット部。防錆処理をしていてもこのザマだ。恐ろしいサビのエピソードは、是非以下のコラムを読んでくださいね。

https://www.croooober.com/feature/10912674