松下宏のCroooober名車図鑑・アコードインスパイア(CB5型、CC2/3型)
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ホンダは昭和から平成にかけてのバブル期に販売チャンネルの多角展開を進めたが、それに合わせて車種バリエーションも大きく展開する戦略をとっていた。
平成元年に登場したアコード・インスパイアはその典型で、セダンボディのアコード/アスコットの上級に位置するモデルとして4ドアハードトップのアコードインスパイア/ビガーを展開し、4車種のバリエーション展開のひとつとして登場した。
アコードの上級に位置するモデルとして開発され、スタイリッシュな4ドアハードトップボディを持つことなどから、発売当初から高い人気を集め、アコードの2倍以上となる極めて好調な売れ行きを記録した。正にバブル景気が真っ盛りの時期であることを示すような売れ行きだったが、当時は誰もバブルとは思わず高級車が売れるのが当然と考えられた時代だった。
インテリアの仕様もラグジュアリーなものとされ、インパネデザインは乗員を包み込むようなデザインを採用するとともに、ソフトパッドを採用した。さらにエクセーヌや本革のシート本木目パネルなども設定されていた。
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4姉妹車の形で登場したものの、アコード/アスコットとアコードインスパイア/ビガーは全く別のクルマで、アコードインスパイアはビガーとともにFF車なのに直列5気筒エンジンを縦置きに搭載するという独特のパッケージングを採用した。しかも前輪の車軸よりも後寄りに搭載することで、前後60:40という重量配分を実現している。
これはFF車として理想的な重量配分ともいえるもので、軽快なハンドリングの実現につながっている。横置きエンジンで発生しがちなボディ振動が発生することもなく、静かで快適な上級車らしい走りを実現した。
ホイールベースは超ロングともいえる2805mmとされた。これは当時のレジェンドよりも長く、フロントのオーバーハングを切り詰めた独特のパッケージングだった。
縦置きエンジンのために室内空間は制約を受け、低めの全高と合わせて後席の居住空間は窮屈なものだった。ホイールベースとオーバーハングが独特に過ぎたため、古いタイプのタワーパーキングには駐車できないケースも発生した。
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搭載エンジンはアコードインスパイアのために専用に開発された直列5気筒の2.0Lで、5気筒とされたのは4気筒の軽量・コンパクトさと6気筒のスムーズさを併せ持つエンジンを作るためだった。5気筒に特有の振動はあったものの、それを解消するバランサーを採用して振動を抑えている。
動力性能は160ps/5700rpm、19.0kg-m/4000rpmの実力で、当時の2.0級エンジンとしてまずまず優れた性能を発揮した。トランスミッションは4速ATをメインに5速MTの設定もあった。
1992年のマイナーチェンジでは、全長と全幅を拡大した3ナンバーサイズのワイドボディが採用され、搭載エンジンも直列5気筒2.5Lを搭載するようになり、ATも電子制御のプロスマテックになった。これ以降は、3ナンバーのモデルを中心に販売されるようになった。型式もCC2/3型になった。
従来の5ナンバーボディに2.0Lエンジンを搭載したモデルCB5型も引き続き販売されたが、エンジンの改良で動力性能を向上させるなどしたものの、一部のグレードが残されただけだった。
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アコードインスパイアは1989年にデビューした後、1992年のマイナーチェンジで3ナンバー中心のバリエーションに変わったが、このときに車名もアコードがとれて単にインスパイアと呼ばれるようになった。その後は1995年にフルモデルチェンジを受け、アコードから独立した車種になってモデルを重ねている。
新車当時に好調な売れ行きを示したクルマであるが、その割にはアコードインスパイアの中古車の流通量は少ない。1992年1月以降は3ナンバー車のインスパイアが中心になったので、基本的には1991年式までとなるが、新車から25年が経過しているだけに、中古車はほんの数台しか流通してない。価格も30万円台から60万円台までとばらつきがある。
後期モデルのインスパイアなら最終モデルからまだ20年が経過していない段階なので、比較的流通量が多くなるが、それでも豊富に流通しているような状況ではない。むしろ探すのに苦労するような状況だ。かつての人気モデルも現在の中古車市場では影の薄い存在になっているようだ。
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