松下宏のCroooober名車図鑑・アンフィニRX-7(FD3S型)
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現在の時点で最後のRX-7となるアンフィニRX-7は、1991年12月に発売(発表は10月)された。当時のマツダはバブル景気の中で販売チャンネルの拡大に走っていて、その中の主力がアンフィニ店であり、RX-7はアンフィニ店扱いのクルマとされてアンフィニの名前を冠したRX-7になった。ただしその後、販売チャンネルが統合される中で、マツダRX-7、あるいは単にRX-7になった。
当時、マツダで本格的なスポーツカーを開発するという意気込みでRX-7を開発していた。1985年に発売された2代目のサバンナRX-7も、開発の意気込みはスポーツカーであったが、当時は日本ではスポーツカーを名乗ることは許されない時代であった。
そんな時代環境が変わったこともあって、マツダが発したニュースリリースには『本格スポーツカー「アンフィニRX-7」発売』と書かれている。
またマツダの技術的な象徴であるロータリーエンジンを搭載するモデルはRX-7だけであり、世界で唯一のロータリーを継承・発展させていくことも大きな課題であった。
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外観デザインはオリジナリティにあふれたもので、従来のモデルに比べるとワイド&ローが際立つボディは、独特のうねりをもった曲面で構成されるデザインとされていた。
インテリアはピュアスポーツを目指したクルマらしく、完全にドライバー・オリエンテッドのデザインが採用され、スポーツ感覚に満ちたタイトなコクピット空間を作っていた。
ボディはデザイン、レイアウト、材料など、さまざまな観点から検討を重ねることで大幅な軽量化を実現し、従来のモデルに比べると実質的に100kgに達する重量削減を果たしている。
そのボディに、コンパクトさを特徴とするロータリーエンジンをフロント車軸よりも後方に搭載することで、前後50:50の理想的な重量配分を実現し、さらに重心高も25mmも下げることで、運動性能に優れたクルマに仕上げている。
サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーン式を採用した。優れた路面追従性や機敏でリニアなハンドリング特性が特徴で、アームやリンク類にアルミを採用することで、バネ下重量を低減するなど、高い操縦安定性を持った。
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搭載エンジンは13B型の2ローターのロータリーエンジンで、これにシーケンシャルツインターボを装着することで、低速域でのレスポンスの向上と中速から高速域までの大幅なトルクアップによる加速の伸びを特徴とした。
それまでのロータリーエンジンは、ローターの重さに起因する発進時の一瞬のラグや、高回転域まで回したときの大きな振動がデメリットとされてきたが、アンフィニRX-7ではそれを解消し、踏み始めからピックアップの良さを感じさせるとともに、高回転域までスムーズに伸びていく特性を備えていた。
パワー&トルクは255ps/6500rpm、30.0kg-m/5000rpmで、最高許容回転数も8000回転まで引き上げられ、限界を感じさせないパワーの伸びを実現した。組み合わされるトランスミッションは5速MTと4速ATだった。
アンフィニRX-7は、発売前に岡山のTI英田サーキット(現岡山国際サーキット)でメディア関係者向け試乗会を開催したが、ここでの走りで前述のエンジン特性をしっかりと確認することができた。
RX-7は2002年まで10年以上にわたって販売されたが、モデルサイクルの後半は限定車や特別仕様車などを中心にした販売になっていた。そして2002年8月の生産中止を前に、3月に最後の限定車としてスピリットR1500台を販売し、RX-7の歴史に幕を閉じた。
スピリットRには、2シーター5速MT仕様のタイプA、4シーター5速MT仕様のタイプB、4シーター4速AT仕様のタイプCの3モデルが設定され、BBS製の17インチ鍛造アルミホイール、レッド塗装ブレーキキャリパー、専用のソフト塗装インテリアパネルなどを備えていた。
FD型RX-7は、販売期間は長かったものの、累計の販売台数は5万3000台弱にとどまっている。1カ月平均で見ると400台に届かないような台数だったから、好きなユーザーが買う趣味性の高いスポーツカーであったのは間違いない。
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RX-7は趣味性の高いクルマなので、現在でも生き残っている台数はけっこう多く、中古車市場にもかなりの台数が流通している。
ただし、中古車相場はかなり高めの水準にある。ロータリーエンジンを搭載したRX-8が絶版になり、新車では手に入らなくなったことも影響しているようだ。
RX-7の中古車は安いものでも70万円くらいからで、50万円以下の低価格で販売されているような中古車はまず見つからない。あっても事故車など、安い理由のあるクルマだけだろう。
高いものはキリがないという感じで、チューニングされた中古車では300万円以上で売られているクルマも珍しくない。
価格帯だけでなく年式の幅も広いが、実際に流通している中古車は2000年以降のモデルが中心となる。あまり古いものは解体されることが多いようだ。年式と価格のバランスを考えた上で、コンディションの良いものをしっかり見分けて買うようにしたい。