【小林敦志】USAより(9) 思いがけない旧車に遭遇

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投稿日時
2016/09/30 09:33

ロサンゼルスとその近郊、つまり南カリフォルニアエリアのフリーウェイを走っていると、思いがけない旧車に遭遇することがある。旧車といってもコレクターや愛好家が大切に乗っているというものもあるが、見た目には乗りっぱなしのようなボロボロの状態で普通に生活の移動手段として使っているものも多いのだ。

日本国内では数年前にエコカー補助金というものを行い、車齢13年超(初度登録から)のクルマから新車に買い換えれば25万円の購入補助金を政府が交付していた。そのときにかなりの古いクルマから新車に買い換えられたのだが、アメリカでもほぼ同じ時期に似たような制度を実施していたが、これは一気に古い大排気量車など環境に良くないクルマをエコカーへ代替えさせ、景気対策と環境対策を一気に行なってしまおうというものであった。いままで乗っていたクルマから、新車へ買い換えた際の一定以上の燃費差など交付条件は日本より厳しかったが、補助金額が4500ドルという破格なものであったので、補助金交付締め切り直前には、各ディーラーに古いクルマに乗っているお客が新車への代替えのために殺到し、夜通し商談が続けられたとも聞いている。

そんな補助金もものともせず、いまもなお旧車に乗っているのはよほど、そのクルマに思い入れがあるとでしか思えない。写真の4代目カローラセダンは最終型でも1983年となるので、すでに33年が経過しようとしている。同じころ販売されていたKP60型のFRスターレットもアメリカ滞在中に必ずといっていいほど見かける。

アメリカでは使用環境(走行距離がハンパでなく伸びる)がシビアすぎるので、日本国内で33年乗り続けるのとは訳が違うところに筆者は驚きを隠せないのである。

アメリカでは、子どもが免許をとると父親が自分の乗っているクルマを子どもに譲るという習慣があると聞いたことがある。それこそ親子三代で乗り継ぐこともあるそうだ。とくに愛好家でもないのに、乗り続けるには何かそのようなトピックスがあるとでしか思えない。

単純に日本車の性能の良さをここで褒め称えようというつもりはない。日本車でもきちんとメンテナンスしなければ故障はする。こちらアメリカでは低年式車の日本車を中古車として購入し、そのまま乗り続けた結果故障してフリーウェイの路肩で故障して停まっているのをよく見かける。

定期的にエンジンに手を入れることで、クルマの寿命はのびるんだなあ、といつも関心して見ているのである。

筆者が初めてロサンゼルスを訪れたとき、右も左もわからなかったので現地の市内観光ツアーに参加した。バスで移動するのだが、フリーウェイのあちこちでクルマが燃えていた。添乗員の女性いわく、「こちらではクルマが燃えたらクルマの買い換えを行います」と説明してくれたのをいまも鮮明に覚えている。それから約26年たったいま、ロサンゼルスを走るクルマは、かなりまともになった。数年前に現地の事情通に、「いまどきアメリカ人でもガレージで愛車のメンテナンスなどしませんよ。だいたいオイル交換したって、いまどきは廃油処理できないでしょ?」と話してくれた。いまでは日本同様にメンテナンスパックのようなものが付帯され、メンテナンスはディーラー任せとなっているケースが多い。電子制御化が進み素人がいじることができなくなったのも大きい。アメリカンブランド、とくにGMは最後までOHVを積極的にラインナップしていたが、これはとくにディーラーの少ない内陸部において、高校などでの自動車整備の実習車両が、古いアメリカ車でOHVだったためとも聞いたことがある。

日本車だけでなく、アメリカンブランドや欧州車の旧車を見かけると、古きよきアメリカを懐かしむというよりは、長い目でみるとアメリカも日本みたいにクルマ自体には興味をもたなくなってきているのではないかと不安になってしまう。しかもすでにこちらの高校生など若い層はクルマ社会の国に住んでいるというのにクルマにはそれほど興味のないひとが多いとのことである。

[写真]

とくに趣味で乗っている気配は感じない。生活の移動手段として使っているようだが、どこかこだわりがなければ30年以上は乗らないはずだ。