秦直之の「モータースポーツ巡礼記 みんなもっと好きになれ!」第190回 今年のGT300、ルーキーの川端伸太朗選手に寄せる思い

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投稿日時
2017/03/06 10:10
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Team UPGARAGE with BANDOHが今シーズンの体制を発表し、引き続きマザーシャシー86を走らせるとともに、中山友貴選手の新たなパートナーとして川端伸太朗選手が起用されることとなりました。(写真中央)それを知って、正直「おおっ!」と。しっかり見てくれる人はいるんだなぁ、と思ってね……。

昨シーズンは2年目のFIA-F4を戦い、開幕2連勝を果たして、幸先の良いスタートを切ったかのように思われました。そのオフに脇阪寿一選手らとともにグアムで過酷なトレーニングを行い、心身ともに鍛え上げてきた効果がさっそく発揮されたと。今年は誰もが、川端選手が主役のひとりになるものと思ったことでしょう。実際、私もそのひとり。2013年に見た、強い川端選手が帰ってきた、とね。

その年、戦っていたのはJAFのF4西日本シリーズ。伊沢拓也選手や塚越広大選手を鍛え上げてきたサクシードスポーツからの出場でしたから、当然期待は大きくて。ただ、2012年まで2年間、トヨタ枠でFCJを戦っていた時の印象って、限りなく薄くもあったんです。ただ、今だから言えるけど、FCJの貫いてきた、セッティングを自由に認めないというスタイル、私はあんまり賛成じゃなかった。なんか個性を潰すような気がして。実際、他にもFCJでは結果を残せなくても、移ったカテゴリーでは成功しているドライバーもいたので、なおさらそう思っていたし、何しろ目利きが拾い上げてきたドライバーでしたから、川端選手にかかる期待も大きかったわけです。

で、実際にこのシーズン、石川京侍選手という強敵が存在したにもかかわらず、6戦4勝で見事チャンピオンを獲得。本当なら、F3にステップアップできれば良かったんですけど、それは叶わず……。また、この年にはポルシェカレラカップジャパンにも出場し、2勝をマークしています。だから悪いシーズンじゃなかったんですよ。

なのに、川端選手は2014年からなりを潜めることとなります。果たしてどんな心境だったのか、それは知る由もないけれど、納得して活動を休止したわけではないのは、FIA-F4がスタートすると再びサーキットに戻ってきたことで明らかです。ただ、ブランクがあったからなんでしょうか、シーズン序盤はなかなか結果が残らず、不運なレースが続きます。ラスト2戦の第13戦でようやく4位に入り、そしてオフの鍛錬もあって、次の年のスタートダッシュに成功します。ところが、その先が続かず。2戦連続の接触、しかも同じドライバーとでリタイアに。これでせっかくつかんだ流れが断ち切られてしまいます。

思うに、見た目は今時のお兄ちゃんだけど、思いっきり繊細なんでしょう。逆にまわりは元気はつらつで、川端選手より若いドライバーが勢いで来るもんだから、巻き込まれちゃったりして。内容や過程は悪くないレースは多かったんですけど、結果が伴わないレースばかりで、もう24歳と後がない。それはすごいプレッシャーとなって、せっかくの実力が縮みこんでしまっているという印象すらありました。でも、そのあたりを坂東正敬総監督はしっかり見てくれていたんですね。

リリースにはこうあります。「GT300のコンセプトはヒーローを誕生させることです。今年は川端選手を起用します。彼に大きなチャンスがあると思います」と坂東総監督。過去には関口雄飛選手を、昨年は山田真之亮選手をフォーミュラから発掘し、一本立ちさせたんですから、きっと川端選手をどう育て、どう鍛えれば同じように一本立ちさせられるか理解しているはず。これは期待せずにはいられません!

チームの体制発表はこちらから。